【読書】アフガン・対テロ戦争の研究 タリバンはなぜ復活したのか/多谷千香子著【タリバン】【対テロ戦争】
アフガン・対テロ戦争の研究 タリバンはなぜ復活したのか/多谷千香子著
”タリバン政権崩壊から15年ー内戦の瀬戸際に至ったのは何故か?”
”隣国パキスタンとアフガニスタンとの関係を解き明かしながら、対テロ戦争をめぐる誤算、地域の今後を丹念に分析する”
本の帯より引用
2016年発行の本書は、タイトル通りタリバンが復活した背景について書かれている。
本書の構成
第Ⅰ部 アフガン・対テロ戦争の開始
第Ⅱ部 オサマ・ビンラディンとアルカイーダ
第Ⅳ部 タリバンの出現と復活
第Ⅴ部 破綻国家化するパキスタン
第Ⅵ部 危機の中のアフガニスタン
第Ⅰ部には9.11テロ事件からアフガン・対テロ戦争に至るまでの経緯と、戦争の開始、米軍による初戦の躓きなどが記されている。
・日本人一名が犠牲になったテロ攻撃計画”ボジンカ計画”の予行演習について
・9.11テロ実行犯の選定や9.11テロ事件を防ぐことが出来たであろうチャンスについて
・9.11テロ事件後にアメリカはアフガン・対テロ戦争を開始したのだが、その戦争の法的性格について
・アフガン・対テロ戦争の初戦(トラボラ作戦やアナコンダ作戦など)の失敗について(アメリカの思惑通りにことが進まなかった理由など)
第Ⅱ部にはオサマ・ビンラディンとアルカイーダの創設についてなどが記されている。
・オサマ・ビンラディンについて
・アルカイーダ創設の動機について
・オサマ・ビンラディンの動きについて(アフガン戦争後、サウジアラビアに帰国。そしてスーダンに行き、再度アフガニスタンに向かう)
・9.11テロ事件前のオサマ・ビンラディンの身柄引き渡しのチャンスについて
・オサマ・ビンラディンによるアメリカへのテロ事件(9.11テロ事件前)について(米艦コール爆破事件など)
・オサマ・ビンラディンの暗殺について(隠れ家の発見と襲撃)
・パキスタンの思惑について
内容が濃すぎて第Ⅲ部以降については書かないが、本書1冊読むことで9.11テロ事件やタリバンについて伝えるニュースが少し分かるようになった。
本書のタイトルにある”タリバンはなぜ復活したのか”なのだが、すごく単純に言うとアメリカに攻撃された時にタリバンは隣国パキスタンの部族地域に逃げて、その後、体勢を整え2006年夏に猛攻を仕掛けることに成功したから。
詳しくは本書の第Ⅳ部”タリバンの出現と復活”を読んで欲しい。
9・11テロ事件を知ろうとすると、オサマ・ビンラディンとアルカイーダについて書かれている本を読まなきゃいけないし、オサマ・ビンラディンがなぜアフガニスタンにいたのかを知ろうとするとアフガン戦争のことについて書かれている本を、タリバンについて知ろうとするとパキスタンについて書かれている本を…とキリがない。
しかし本書は上記のことはもちろん、パキスタンのISI(三軍統合情報機関)やパキスタンのインド脅威論、ソ連によるアフガン侵攻までの経緯、アフガン戦争後、アフガニスタンに軍閥が跋扈した経緯など、タリバンとアフガニスタンを理解するのに必要な情報が詳細に書かれている。
自分が本書を読むきっかけとなった著者の講演動画のリンク
リンク先:YouTubeの日本記者クラブさんの公式チャンネル
最近のアフガニスタンに関するニュースのリンク(VOAサイト内の記事へのリンク)
自動翻訳サービスDeepL翻訳はこちらwww.deepl.com