【読書】森林飽和 国土の変貌を考える/太田 猛彦著
森林飽和 国土の変貌を考える/太田 猛彦著
目次
第一章 海辺の林は何を語るかー津波と飛砂
第二章 はげ山だらけの日本ー「里山」の原風景
第三章 森はどう破壊されたかー収奪の日本史
第四章 なぜ緑が回復したのかー悲願と忘却
第五章 いま何が起きているのかー森林増加の副作用
第六章 国土管理の新パラダイムー迫られる発想の転換
題名通り、日本の森林とその歴史について書かれている本。
山について知っている事といえば、昔ははげ山だらけだったということと、今は杉を植林しすぎて、花粉症の原因になっているということくらいだったので、この本は勉強になった。
本書を読んで、一番印象に残ったのは「海岸林」の大切さだった。
自分が海辺に住んでないので、「海って松の木あるよね」くらいの認識だったが、海岸林は人の暮らしを守るために大きな役割を担っていた。
海岸林は主に防風、飛砂防止、塩害防止、高潮防止、防霧と津波災害を減らすという目的がある。
第一章では、海岸林がいかに、津波から町を守っているのかが書いてある。
分かりやすく言うと、海岸林によって津波エネルギーが減衰されたり、津波到達を遅らせることができたり、漂流物を補足して、家屋への被害を減らすことが出来るのだ。
海岸林で津波エネルギーを減衰させるには、海岸林の幅とか、浸水する深さなどの条件がある。
もちろん「海岸林があればすべて解決」というわけにはいかなくて、地盤を高くしたり、防潮堤を作って、その相乗効果で減災を実現するのだ。
日常では海岸林は、潮風と飛んでくる砂を防いでくれる。
大切な役割を、松の木たちは担っているのだ。
何故、松の木なのかということも、本書に詳しく書いてあるので、興味のある方は本書を読んで頂きたい。
木の成長には時間がかかるし、管理も必要。
最近、国が防災林に、予算をつけるというニュースがあり、「これは朗報」と個人的に感じた。
使えるものはなんでも使って減災を目指さないと、被害が広がるからね。
高台や内陸への引っ越しも、補助金とか出して、どんどん進めた方がいいと思うが、その手のニュースは聞かない。
私が知らないだけで、津波被害が予想される地域では、進んでいるのだろうか。