【読書】慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件/木村盛武著【ヒグマによる被害】
慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 木村盛武著
大正4年(1915)に北海道の苫前村三毛別(とままえむらさんけべつ)の開拓地で起こった人喰い羆のはなし。
著者は1920年札幌生まれ。
林務官として働きながら、三毛別事件の被害者や遺族、討伐隊に参加した人たちから話を聞く。
関係者から証言を集め「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」を発表したのが事件から50年経過した昭和40年。
著者が発表した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」を読んだ作家や脚本家たちによって、この惨劇は文芸作品となり大正時代に起こった事件が今なお伝承されている。
本書では、第一部で三毛別事件の詳細が書かれている。
小説のように書いてあり、とても読みやすい(怖いけれど)。
第一部の最後で事件を丁寧に検証している。
第二部はヒグマとの遭遇について書かれている。
個人的に特に恐ろしかったのは1938年に著者が北千島で遭遇した人喰いヒグマのはなしである。
著者は食害中のヒグマと遭遇。
その時の遺体の描写が恐ろしかった。
三毛別事件や著者の体験談の他にも、有名な動物写真家、星野道夫氏の事件や福岡大学ワンゲル部員の事件、その他のヒグマ事件などが載っている。
恐怖心を煽るように書かれた本ではなく、多くのヒグマ事件を通してヒグマの習性を知ることで、犠牲者を減らすことを目的として書かれた本だと思う。
ヒグマによる人身被害について知りたい方におすすめの本です。