猫と英語と後鼻漏

中学英語から独学で学び、現在、英検1級挑戦中。テキストの紹介や後鼻漏の話などをしています。読書や映画の話なども。

【読書】「戦争学」概論/黒野 耐(くろの たえる)著

「戦争学」概論/黒野 耐(くろの たえる)著

タイトルどおり”戦争学”について書かれている本で、2005年出版。

目次

第一講 地政学大戦略

第二講 21世紀への地政学

第三講 ナポレオン戦争クラウゼヴィッツ

第四講 第一次世界大戦リデルハート

第五講 第二次世界大戦と絶対戦争

第六講 核の恐怖下の戦争ー冷戦

第七講 冷戦下の制限戦争とゲリラ戦

第八講 二つの新しい戦争ーイラク戦争

第九講 アジア太平洋の戦争学

 

この本を読んだ理由は、”戦争学”というものに対し、無知だと自覚していたから。

少しは知っとかないと、ニュースや人の話が理解できないと思い読んだ。

第一講の「地政学大戦略」は、正直自分には難しかった。

でも、よく聞く単語”シーパワー”とか”ランドパワー”とか”ハートランド”とかの意味や、各国(主に欧米)がどういった戦略を採用してきたのかが分かりおもしろかった。

テクノロジーが発達すると、新たな武器が誕生して、戦争のやり方が変わる。

しかし戦略は、地政学と強く結びついていることが勉強になった。

 

個人的に一番面白かったのが第七講の「冷戦下の制限戦争とゲリラ戦」。

三つの戦争を例として取り上げていて、フィリピンでの対ゲリラ戦、朝鮮戦争での制限戦争、ベトナム戦争でのゲリラ戦と制限戦争。

ゲリラ戦で勝利を収めるために必要なことが、実例をあげて書いてあって分りやすかった。

本書に繰り返し書いてあるのだが、ゲリラ戦にしろ正規戦にしろ、大事なのは政治ということ。

軍事はあくまでも政治目的を達成するための手段の一つであり、主役はあくまでも”政治”。

本書の”おわりに”に書いてある文章を引用させてもらう。

”しかし、世界の近代史における戦争を見ていくと、政治指導者の野望や判断の誤りなどから戦争となることがほとんどである。考えてみれば当然でもある。クラウゼヴィッツが戦争を「政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続」と喝破したように、政治指導者は非軍事的手段による問題解決に行きづまって、最後の手段として戦争に訴えるからである”

 

「戦争」を想像する時、イラク戦争やふたつの世界大戦、戦闘機やドローン攻撃、ミサイルに潜水艦、難民問題と思い浮かぶものはたくさんあるが、「戦争学」となるとなにも思い浮かばない。

それは知識がない(または興味がない)からだと思う。

それを改善したくて読んだ本。

アマゾンで冒頭部分が試し読み出来るので、興味のある方は内容を確認されたらいいと思う。