トラオ 徳田虎雄 不随の病院王/青木 理著
『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』 青木 理(あおき おさむ)著
医療法人 徳洲会グループを一代で築き上げた男のはなし。
こういう人を”破天荒な人”と呼ぶのだろう。
この人がいなかったら離島・僻地の医療体制はどうなっていたのだろうか。
「生命だけは平等だ」をモットーに離島・僻地医療の実現と拡充を求め続ける徳田 虎雄氏についての本。
徳田氏は医療法人・徳洲会グループを一代で築き上げた医師であり経営者。
「年中無休、24時間オープン」「患者さまからの贈り物は一切受け取らない」などを売りに、日本各地に病院を次々と建設し、離島・僻地の医療実現のためには、政治家になる必要があると、衆議院議員までなった。
青木氏が取材した時には、ALS(筋萎縮性側策硬化症)に侵され、人工呼吸器をつけ、目の動きだけで意思を伝える状態。
その状態でも、離島・僻地・発展途上国の医療実現と、その維持について考え続ける徳田氏。
本の中で、徳田氏は〈徳洲会の原点は離島僻地医療。都会の病院はそれを支える為につくった〉と徳洲会グループの幹部に伝えている。
著者の青木氏は本人への取材はもちろん、妻子、徳洲会病院の関係者、徳之島の住人たち、徳洲会と反目している医師会関係者、政治家などに話を聞いている。
徳田虎雄氏の原点である徳之島での貧しい子供時代。
徳洲会グループと医師会の軋轢。
2010年の徳之島への普天間基地移設問題。
徳州会病院で行われた病気腎移植手術。
そして2013年の東京地検特捜部による徳洲会グループへの強制捜査。
本を読み進めるうちに、徳田氏のファンになっている自分がいる。
目次
Ⅰ ALSとの「死闘」
Ⅱ「差別」と「極貧」の少年時代
Ⅲ「保徳戦争」の全貌
Ⅳ「病院王」に群がる政治家たち
Ⅴ日本医師会との「相克」
Ⅵ「基地移設」に揺れた島
Ⅶ「徳田イズム」を体現する二人の医師