名もなき受刑者たちへ「黒羽刑務所第16工場」体験記/本間 龍著
名もなき受刑者たちへ 「黒羽刑務所第16工場」体験記 本間 龍(ほんま りゅう)著
YouTubeの「一月万冊」さんを見て、読みたくなった本。
服役について書かれている本に対し、こういっては語弊があるかもしれないが、すごく面白かった。
動画を見て「本間さんっておもしろい人だなぁ」と思ってたけど、本間さんは文章も面白かった。
栃木県にある黒羽(くろばね)刑務所、ここでの著者の体験記。
著者は友人とのあいだで金銭問題を起こし詐欺罪で起訴され、約1年間、初犯刑務所である黒羽刑務所に収監された。
著者がいた「黒羽刑務所第16工場」は特殊な場所で、「懲役労働のための工場」と聞いて普通に想像するようなところではない。
第16工場には認知症高齢者、知的障害者、身体障害者、同性愛者などの受刑者が集められている。
健常者と同じペースで作業できないためだ(同性愛者は色恋沙汰がおきてしまうからという理由)。
刑務所なので規則は厳格だが、そこに収容されているのは、高齢者や障害者が多いので規則に合わせることができない。
第16工場での著者の係は刑務官を補佐する”用務者”。
用務者の仕事は多岐にわたる。
工程管理、食事の準備、清掃、洗濯物の集配のほか、第16工場には助けが必要な受刑者が多いため、そういった人たちのお世話まで含まれる。
内容によってはやるせない気持ちになるが、著者の軽妙な語り口が暗いムードにさせない。
本書の「おわりに」で書いてある、著者が信頼している”オヤジ”こと黒岩刑務官との挨拶には胸が熱くなった。
おもしろいが、考えさせられる本。
目次 はじめに
第一章 ようこそ16工場へ
第二章 オカマの章
第三章 障害者の章
第四章 高齢者の章
終章 介護刑務所の明日
エピローグ
おわりに
本間氏が出演しているYouTube動画チャンネル『一月万冊』で、本間氏が経験した留置場の話、東京拘置所の話をされているので、動画をリンクしておく。
YouTubeの『一月万冊』さんのチャンネルへのリンクです。